主格の関係代名詞も省略可能

一般的に「関係代名詞の目的格は省略することができます」と、学校では教えてもらったはずです。しかし、この説明は厳密には正しい説明とは言えません。それについて説明する前に、そもそもどんな時に関係代名詞は省略されるかについて説明します。基本的に、関係代名詞が省略可能なのは「制限用法」の文のみです。「非制限用法」の文では関係代名詞は省略不可です。※「制限用法」と「非制限用法」について覚えていない人は下記に説明を追記するので参照してください。関係代名詞が省略可能な時は「主節文」と「関係詞節」が音声的に密着している場合のみなのです。つまり、「非制限用法」はコンマによって「主節文」と「関係詞節」の間に「ポーズ(間)」がうまれるため省略は不可能なのです。

まとめると

関係代名詞の省略が可能な場合→制限用法の文

関係代名詞の省略が不可能な場合→非制限用法の文

不可能な理由→主節文と関係詞節の間にコンマを置くためポーズがうまれるから


※「制限用法」と「非制限用法」

先行詞(不特定の人やもの)を、直後の関係代名詞によって修飾し不特定なひと、ものを明確にすることを制限用法と呼ぶ。

The(a) person (who likes playing soccer) is my brother.

The(a) person はこの時点ではだれなのか不特定だが、直後の関係代名詞によって「サッカーをすることが好きな人」に制限される。

制限用法に対して、非制限用法は文中の名詞について、関係代名詞を使ってなにか説明を付け加える用法である(制限するわけではない)。この場合、先行詞となる名詞は特定の人やものである場合が多い。非制限用法では、コンマで文を区切ることが必要である。例を以下に示す。

The second statement is by Tony Blair, who takes a personal interest in health policy.

訳(二番目の声明はトニーブレアによるものだが、彼は保健政策に個人的関心を抱いている。)※


説明してきたことを例文でさらに具体化していきます。

制限用法の文(省略なし)

Did you like the meal that you ate last night? (昨夜食べた食事は好きだった?)

制限用法の文(省略あり)

Did you like the meal you ate last night? 

非制限用法の文(省略なし)

I poured him a glass of wine, which he drank at once. (私は彼にワインを一杯注いだが、彼はそれをすぐに飲んだ。)

非制限用法(省略不可能)不適切

× I poured him a glass of wine, he drank at once.


話は本題に戻り、「関係代名詞の目的格は省略することができます」これがなぜ厳密には正しい説明ではないのかについて説明していきます。学校では「主格の関係代名詞のは省略不可で目的格の場合は省略可能」と習いますね。その通りです。基本的にはその通りです。しかし、一般的に不可能とされている「目的格の関係代名詞の省略」も場合によっては問題ないのです。その例を以下に示します。

関係代名詞の省略が可能な時

1.先行詞+(関係詞)+主部+述部→目的格の関係代名詞の省略

2.先行詞+(関係詞)+述部→主格の場合の関係代名詞の省略【以下の二例】

2(1). there is/are, here is/are構文の後ろ

2(2). it is ~ that...の強調構文

それぞれ例文を示します。

1. Did you like the meal you ate last night?

2(1). There is somebody wants you on the phone.

2(2). It was only their persistent efforts made success possible.


学校でおおまかな文法を解説する際に「目的格の関係代名詞は省略不可能」と説明した後で例外としてという形で2のような場合も教えると混乱を最小限に抑えることができるかもしれません。基礎ができていない人に例外を教えても混乱するだけです。海外に長期滞在していない日本人は「体系的に英文法を習得」したのち「運用」することで総合的な英語能力を高めようとする教育システムです。そのため、例外も触れておかないと、実際にネイティブとの会話の中で例外が出てきてしまうと学習者の中で確立していた文法が崩れる可能性が生まれてきてしまうのです。教育の場、特に英語教育では例外に触れることは必要不可欠なのです。

                                   tommy




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