日本語と英語の間の恐怖

「語彙力」という言葉を耳にすると「知っている単語の量」のことをどうしても考えがちです。しかし、本当の語彙力とはなにか考えると「語彙の数だけでなく、基本語彙をどれだけ使いこなせるか」ということだと思います。そんな「take」などの基本語彙は「意味は複雑で多岐にわたる」と説明されがちです。しかし、それらの語彙は「複雑で多岐」ではなく「単純であいまい」なだけなのです。それゆえ文脈によって同じ単語でも成す意味が異なってくるのです。ではなぜ「意味は複雑で多岐にわたる」と説明されてしまうのでしょうか。今回の記事では、その理由に少しだけ言及し読者の興味を少しでも誘発できればなと考えています。

今回は上記でふれた問題について、基本動詞である「take」を例に説明していきたいと思います。皆さんは「take」という単語の意味を尋ねられたらどのように答えますか?

take=「とる」「うけとる」「つかむ」・・・

このように答える人がほとんどではないでしょうか?

ではもう一度。今度は日本語から思い浮かぶ英単語を列挙してみてください。

「とる」=take, catch, get, etc

「うけとる」=take, receive, accept, etc

「つかむ」=take, seize, grasp, etc

・・・・

このように、「take」にはn個の日本語の訳語が与えられます。しかし、そのn個の日本語にはさらにn個の英語項目に対応していて、論理的にこのプロセスは永遠に続きます。ここで言いたいことは、外国語を学習するにあたって母語との対応関係を探るのは学習の原理から当然であるといえます。しかし、それに依拠して対象語の意味を習得しようとするとマイナスな影響が大きく働いてしまうのです。

説得力を増させるためにもう少し付き合っていただきます。以下の日本語の文で「take」を用いることができるのはどれでしょうか?


1「箱のふたをとる」

2「服からシミをとる」

3「一等賞を取る」

4「栄養を取る」

5「魚を捕る」

6「明かりをとる」

7「年をとる」

8「船のかじをとる」

9「事務をとる」

10「連絡をとる」





皆さんは何個選びましたか?答えは、1から4は「take」を用いることが可能です。しかし、それ以外は用いることはできません。1から4のほかの日本語の文に「take」を使ってしまった場合それは「過剰使用」であり、本来用いらなければならないところで使うことができなかった場合「過少使用」となります。同じ日本語の「とる」でもこれだけ英語では違いがあるのです。この事態を防ぐための最も効果的な方法は「take」の「コア的意味」を図解的(イメージ的)に会得する必要があるということです。


言語に精通してるBolinger博士?教授は以下のように述べています。

Now we find a single overarching meaning which performance variables imbue with local tinges that pass for distinct senses. The deception is like what happens when we meet as acquaintance in an unexpected setting: we may not recognize him. Bolinger1977.19

一つの語にはひとつの全体を包括するようなmeaningがあるのだが、それに言語運用上の変数がローカルな色彩を染み込ませ、違った語義(意味)としてまかり通るのである。ここでの問題は、ちょうど私たちが予期しないところで知人に出会ったとき彼に気づかないようなものである。


つまり、本来ひとつにまとめるような意味があるのだが文脈上いろいろな訳語に変えられることによって本来の姿に気づかなくなってしまうことがあるということである。

単語のもつ本来の「包括するようなmeaning」を「コア的意味」と名付けるとすると、外国語学習者は母語に置き換えてその包括的な意味を複雑に多岐にする必要はなく「コア的意味」として学習するほうが学習効率は上がるのかもしれない。

                                tommy







 

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